皆さん、ペットフードの『グレインフリー』って、知っていますか?グレインとは、いわゆる『穀物』のこと。主に、米、麦、トウモロコシのような、イネ科植物の種子のことを指します。定義によっては、『豆類』も含まれることがあります。グレインフリーのペットフードとは、これらの穀物を含んでいないフードをいいます。
なぜ犬、猫のフードがグレインフリーなの?
犬や猫は、もともと肉食だったため、胃腸が穀物を消化するのに向いていない。そんな考えから生まれたのが、グレインフリーのフードです。確かに、野生の状態で、犬や猫が穀物を食べることはありません。牛などは、草を消化するために胃が4つもあるうえに、腸も長いことを考えると、犬や猫は穀物を消化しにくい、というのは、一理あるような気がします。では、我が家のワンコ、ニャンコはどうなのでしょうか?
ワンコやニャンコは、グレインフリーでないといけないの?
ズバリ。そんなことはありません。
野生の犬や猫が穀物を食べないのは、それが『生』だからです。穀物の主成分である炭水化物は、そのままでは消化吸収されにくいことがわかっています。実は、これは人間にも当てはまり、生のお米を食べても、栄養としてはよろしくありません。水を加え、圧力をかけて加熱する、つまり『炊く』ことで、炭水化物の構造が変化します。そうすると、効率よく、栄養素として体に取り入れられるようになります。
犬の祖先は、オオカミだといわれています。オオカミは肉食だと思われがちですが、実は雑食だったことがわかっています。ワンコも雑食、むしろ、肉だけでは栄養が偏ってしまいます。猫はというと、犬に比べると肉食の割合が高いので、穀物の消化はちょっと苦手。ネコ科のライオンやトラは、完全な肉食ですよね。でも、人間と暮らすニャンコにとっては、穀物からとれる栄養は大切です。消化がちょっと苦手なので、割合をへらしてあげましょう、ということです。きちんと加熱、調理された穀物は、ワンコもニャンコも、消化できることがわかっています。
『グレインフリー』と『グルテンフリー』
犬や猫のアレルギー対策に、グレインフリーのフードがよい、と聞いたことはありますか?
多くの場合、これはおそらく『グルテンフリー』のことではないか、と思います。グルテンは、麦に含まれるタンパク質で、アレルギーの原因になることがあります。人間でも、小麦アレルギーでパンが食べられない、という人がいますよね。ワンコやニャンコにアレルギーの症状があり、その原因が麦であれば、それは取りのぞいてあげる必要があります。
名前が似ているのでまぎらわしいですが、グレインフリーとグルテンフリーは、本来は別の意味です。ただ、フードによっては、麦を含まないことを『グレインフリー』と表示しているものがあり、これは原材料をきちんと見ないと、わかりません。
アレルギーがなければ、穀物は良き栄養素となります
まれにではありますが、穀物アレルギーを持っているワンコやニャンコがいます。そんなワンニャンには、グレインフリーのフードは、対策の一つとしてアリです。ただし、すべての穀物にアレルギーがあるとは限らず、原因になっているものだけを取りのぞく方がベターです。アレルギーの症状があったら、フードを選ぶ前に、まず原因をはっきりさせることが大切です。
穀物も食べやすく、消化しやすく、そしておいしく。高齢のワンニャンの場合、食事の中の穀物が減ると、その分タンパク質が増え、内臓に負担をかけてしまうこともあります。バランスよく、食事を考えてあげましょう。
まとめ
犬や猫は、穀物を消化するのが苦手だから、グレインフリーのフードがいい、と言われることがありますが、そんなことはありません。アレルギーさえなければ、穀物に含まれる栄養素は、むしろペットにとって大切なものです。加熱・調理してある穀物は、消化吸収にも問題ありません。バランスよく、食事に取り入れてあげましょう。